時計じかけのオレンジ

正しいシステムを求めすぎている。

今の仕事に就いて、10年が経つ。いろいろな仕事をいろいろな人としてきた。そんな中で私が感じる疑問がこれだ。

思い出して欲しい。中学校のクラスを。
私のようないたって真面目でさわやかで、「はつらつ15才賞」を受賞する少年もいれば、カバンがぺしゃんこに潰れ、ボンタンを履いたやつ、ちょっと嫌なことがあると学校に来なくなるやつ、「ふたりエッチ」を学級文庫と言って持ってくるやつ。国語の時間に「案の定」の意味を問われると、「あんのじょうはしらないけど、うちのおじいちゃんは、のろかんのじょうだよ」と答える猛者もいた。
髪にワックスつけては水道の冷たい水で洗い流され、柄物のTシャツを着ては着替えて来いと家に帰され、遅刻もしまくっていた。
正しいと言われる生き方をしてるやつなんか一人もいなかった。でも、そんなクラスは最高に楽しかったし、素敵だった。

でも役所に勤めて、施策の検討をしていると、いつもターゲットは堅実で合理的で合法で抑制的で…要するに、学級委員長や生徒会にいるような人たちばかりなのだ。
補助金の申請は締め切りまでに用紙に間違いなく書ける。働けばずる休みも遅刻もしない。法律の条文名を書けばインターネットで検索するし、URLのリンクを張ればパンフレットも自費で印刷する。

そのターゲットは、テストの前日に徹夜で麻雀をしたり、ストームと叫びながら寮内を深夜に徘徊したり、原付を違法駐車で止めてバイトに行き、日当以上の罰金を取られたりはしないのだろう。

しかし…そんな奴いるか??友人はみんなそんなマトモな人生は送っていない。良くも悪くも。そしてそんなことができるような人達に出会ったならば、私はできる限りお付き合いを避けるようにして生きていただろうと思う。

おそらく、役人があまりに真面目で、マトモな社会の上澄みで生きてきた人たちばかりだからなのだろう。これは実感を込めて。
だから、あらゆるシステムには正しさが求められる。ズルする人間や非合理的行動をする人間は排除される。当たり前に正しい選択ができ、必要な下準備をする人たちだけが想定されている。
これではどんどん制度を使うものと、まったくかかわらずに生きていくものとの間に大きな分断が生まれていく。同じように、働いて税金を納めているのにも関わらず…

このようなことを言っているだけでは何にもならないのだが、少なくとも私は、世の中にはアホも馬鹿も真面目も不真面目も、キチガイもエロも、実直も勤勉も、金持ちも風俗嬢も、ヤクザも証券マンも、同じように暮らし、その中で苦労しながらもがいているのだ、ということだけは常に忘れないでいたいと思うのである。

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主人公はイカレている。
こんな奴いたら困る。
でも服装がイカシている。音楽の趣味もいい。

こんな奴が地元にいたような気もする。
しかし、イカレている。
でも最終的には、イカレているのは社会だとわかる。
主人公の罪は消えないが、彼だけが罪深いわけではない。


簡単に言うとそんな話だが、とにかく観てほしい。
何十年も前の映画とは思えない新鮮さがそこにはある。
ただ好き嫌いは分かれると思うので、
嫌いでも、私のことは嫌いにならないでほしい。
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さんざん真面目なことを書いたような気がするのだが、
まあ、要するに、この文書の中で覚えておいてほしいのは、
その昔、私が「はつらつ15歳賞」という
最も15歳に与えてはいけないネーミングの賞をもらい、

多少やさぐれたという歴史的事実である。